STORY

今回は、爽やかな白ワインの産地として知られるロワール地方と、この地方の名産でもある旬のホワイトアスパラガスをお楽しみいただきました。

本来は、出始めのアスペルジュ･ソバージュ（野生のアスパラガス）も一緒にお出しする予定でしたが、何せ自然の物なので例年より入荷が遅れてしまいご用意できませんでした。皆様楽しみにされていたのに期待に添えず、誠に申し訳ございませんでした。

さて、今回取り上げたロワール地方は首都パリから近く、都会のブラッセリーやビストロで飲まれるリーズナブルなワイン産地として栄えてきました。また、産地はフランス最長のロワール川沿い1000ｋｍにもおよび、いたるところに観光にも最適な歴史ある古城が点在しています。気候も良く野菜･果物･花畑が広がる美しい景観から「フランスの庭」と例えられています。近年では、自然に即した農法「ビオディナミ」発祥の産地としても知られ、ワイン愛好家だけでなくワイン生産者からも注目される産地へと発展を遂げました。

そしてその広いロワール地方の中から今回選んだワインは、ボネ・ユトーが造る2009年ミュスカデ･セーブル･エ･メーヌ、Ｆ.ティネル･ブロンドレの2010年プイィ･フュメ、ビオディナミ農法の伝道師といわれるニコラ･ジョリーの2008年サヴニエール･レ･ヴュー･クロ、そして今回唯一の赤ワインはフランシス･エ･フランソワ･デブルドの2009年シノン･ラルパンティをご用意しました。今回のワイン会の目玉でもあるサヴニエール･レ･ヴュー･クロは、流石の厚みと豊かな口当たり。そして、「ビオディナミ」を体現する長いミネラルの余韻で圧倒的な存在感をみせつけました。

そして今回のもう一つのテーマ｢アスパラガス｣。アミューズは、ホワイトとグリーンをシンプルにボイルした物をゲランドの塩でお出ししました。オードブルでは、アスペルジュ･ソバージュの代わりでご用意した紫アスパラガスをグリルして農園風のサラダに仕上げました。そしてメインには、豚肉のカイエットにローストしたホワイトアスパラガスを合わせました。メインのカイエットは赤ワインだけでなく白ワインでも相性が良く、とても評判でした。

今回は、産地がとても広くご用意するワインを絞るのに悩みましたが、結果的にブドウ品種の違いや味わいのコントラストを出すことにより、その個性の違いを感じていただけたようでした。

また、食材であるホワイトアスパラガスを取り上げた事により、ワインだけでなく季節感や旬もお楽しみいただけたのではないかと思います。